「ただいま~」
桃川さんは持っていたビラを机に置きました。
あ、私が入学式の日にもらったビラです。
桃川さんはその男の人と向かい合わせに座りました。
「どうだった?」
「う~ん。まぁまぁかな。一応、女のコ1人と番号交換したけどね」
男の人の問いかけに、桃川さんがスマホをいじりながら答えてます。
桃川さんと絵里さんは勧誘に行ってたのかもしれませんね。
絵里さんは窓際に立ってペットボトルのお茶を飲んでますよ。
おう!?
男の人が私を一瞬見たんですけど。
な、なんか目つきが悪いです。
カンジ悪いですね。
で、でも、センパイだし、ちゃんと会釈します!
むぅ。
でも、向こうはじっと見てるだけなんですけどっ。
「あ、そのコ、立花真由ちゃん。あたらすぃコ」
「ほら、入学式で会ったって話したコ」
男の人が私をじっと見てるのに桃川さんが気づいて紹介してくれて、さらに絵里さんも詳細を付け加えるようにして話してくれました。
「あ!立花真由です。よろしくお願いします」
うう、何度言っても自己紹介はキンチョーするなぁ。
まして、なんかこの人カンジ悪いし。
「2年の武田(タケダ)です」
それだけ言うと武田と名乗った男の人は再び文庫本を読み出しましたよ~。
このヒト、苦手です……。