ぎゃっ!

慌てて目を開けて様子を確認すると、
しかめっ面でおなかをさすってる桃川さんがいます。

「あ、あ!
 ご、ごめんなさいっ。桃川さんごめんなさいっ」

私はどうしたらいいかわからなくって、
とりあえず桃川さんがさすってる手の上から一生懸命さすりました。


「真由ちゃん。ナイスパンチ……」

桃川さんはブルブルと頭を振るって、
いつもみたいにニッコリと笑ってくれました。

ホッ。

「っていうか!このヤロー!」

ホッとしたのもつかの間。
桃川さんは私を羽交い絞めにしました!

「わー、ごめんなさいっ。ごめんなさい!
 ホントごめんなさいっ」

ジタバタジタバタ。
謝罪しながら懸命に抵抗します。


「分かればよろしい」

そのまま肩を抱いてきました。

ホッ。

ん?

待て待て待て。

っていうか!

そもそも桃川さんが私を脅かすから
悪いんではないんでしょうか……。

腑に落ちないなぁ。

でもとりあえずここから早く出たいし。

それに、こうやってくっつけるのはテレるけど、
やっぱり嬉しいのです。
へへへ。


そして、皆様のご想像通り、
悪ふざけのすぎる桃川さんとはお化け屋敷を出るまでに
こういうやりとりが何度か交わされたんです……。

はうううう。

遊園地デートは憧れでしたし、
桃川さんとだなんてすごーく嬉しいんですけど。

やっぱり絶叫系やホラー系はどっと疲れたのでした、マル。



交際/二大恐怖 終