入口にある券売機の前に立ちました。


「ここはオレのおごりね」

言いながら桃川さんはササッと2人分のフリーパスを購入します。

「いえいえ!とんでもないです!」

「いいの~。
 こういう時はかわいく“ありがとうございます”っておごられなさい」

お金を渡そうとしましたが、
桃川さんは券売機から出てきた券を私の前に差し出して
決して受け取ろうとしません。

「ねっ」

そう言いながら、
券を持った右手を私の頭に置くようにしてふんわりと叩きました。


「じゃ、じゃあお言葉に甘えさせていただきますっ」

「よろしい」

「はいっ」

私たちは笑い合いました。

へへへ。