「4367円です」

恰幅のいいレジのおばさまが野太い声で合計金額を読み上げました。


ササッ!

ワタクシ立花真由は
さっきから手に持っていた樋口一葉さんを1枚素早く出しました!

「あー、いいのに」

桃川さんは手に持っていた諭吉センセーを出そうとしてたんで、
とっさにそう言ってくださったんですけど、

レジの方は「何がよ」というカオで桃川さんを見ています。

はい、ちょっと(いえ、かなり)迫力のあるおばさまです。


「あ、いえ。すみません、こっちの話です」

桃川はぺこりと頭を下げておサイフに諭吉センセーをしまいました。

おばさんは鼻息荒く、レジにお金を吸い込ませていました。


「真由ちゃん、オレが払ったのに」

「だって、作ってもらうんですからっ」

「そんなー。オレがしたくてしてるだけだし。オレも食べるんだし」

「いいんですー」