「もうそろったんじゃね?」
しばらく質問攻めにあった後、
話題がちょうどやんだところで石田さんが絵里さんに言いました。
確かに、私たちがもみくちゃにされてる間に他の班も集まってきました。
おおよそ30人。
駅前にこの人数集まると圧巻ですね。
「遠藤、指示出せ」
わわわ!
石田さんは踊り狂っていた遠藤さんを後ろから蹴りました!
ホント、暴力ふるいますよねー!
あ、遠藤さんですね、
実は私と桃川さんの交際宣言をきいて驚きすぎて
クルクルまわったりイミのわからない動きをしてたんですよね。
はい、やっぱり遠藤さんはフシギなお方です。
「みんな揃った?」
おお!
遠藤さんは急に凛々しい顔つきになりました。
「揃いました~」
絵里さんの返答にキリリとしたカオで頷く遠藤さん。
「じゃあ、みなさ~ん。ついてきてくださ~い!」
うわ~お!
遠藤さんが紙バッグに入れていた旗を掲げ、パタパタと振り始めました。
ちょうどバスガイドさんが持っているような旗で、
そこには意味不明なロゴが入っています。
なんなんでしょうか、あの旗は!
そうして、遠藤さんは先陣を切って駅前の横断歩道を渡り始めました。
え!
というか、今信号が!
「遠藤さん!」
絵里さんが慌てて遠藤さんの腕を取って渡るのを阻止しました。
そうなのです、信号が赤だったのです!
こわいですこわいです。
遠藤さん、こわいです!
しかも遠藤さん、自分の言動を把握できていませんよ!
きょとんとしています。
「遠藤さん。赤ですからっ」
「お!?おお、ホントだ!」