「じゃあ、なんだよー」

石田さんが答えを急かします。

「付き合うことになりました!イエイ」

桃川さんはもう一度、さっきと同じポーズを取りました。

チラリ。

美紀ちゃんはニコニコして聞いています。


フヘヘ。

きっと桃川さんからお付き合いしてることきいたんですね~。

にゃははは~。

うれしいな~うれしいな~、
うれしいなったらうれしいな~。


「ほぉ~」

むむむっ。

なんなんでしょうか、石田さんったら。
腕組みをして私を悪代官面で見てますよ!

「な、なんですか~?」

「別に~」

石田さんは憎たらしい顔で他所を向きました。

「むっか~っ」

地団駄踏んじゃいたいです!

「あんま極端にいちゃつくなよ」

言った後で石田さんは
「ぷ~っ!」
と吹き出しました。

「あーヤベ。想像したらキモい」

んま!

コイケンさんったら!

ホントに気持ち悪そうに胸のあたりをさすってますよ!

失礼なんですから、まったく~!
プンプン、プンプン。


「したいのは山々なんですけどー、美紀がいる前はさすがにちょっと……」

「えー、いいよ。ノリくんにはヒミツにしてあげるから~」

美紀ちゃんはフフフと優しく笑ってます。

ノリくんとはどなたでしょうか?
もしかしてお兄さんのことかな?

「あ、真由ちゃん。
 ノリくんっていうのはね、涼ちゃんのお兄さんなのね」

美紀ちゃんはそういうと穏やかに笑ってくれました。

「あ、美紀ちゃんのカレシさん?」

「うん」

美紀ちゃんは小さくうなずきました。

あ、ちょっとテレてます。

ああ、そんなテレてるところも絵になります、美紀ちゃんは。


「いや、美紀も家族みたいなもんだから……」

あ、珍しいです!

桃川さんが恥ずかしそうにしています!

ご家族に自分の恋愛を知られたくないっていうのはこういうことなんですね~。