「おお!おフロ上がりだ、スッピンだ~」
桃川さんが私の顔をまじまじと見つめてきます。
ぎゃあああああああ。
そうでした、
当たり前ですけど、おフロ上がりなのでスッピンなのです!
もちろん大差ないと思います、私のメイク技術じゃあ。
でも、やっぱり恥ずかしいです、スッピンなんて。
あああ!
しかも、今ノーブラです!
ヤバイですヤバイですヤバイです。
気づかれないように、パジャマの前身頃に手を入れて空間を作ります!
「わ、忘れ物ですか?」
はううう。
桃川さんにまた会えたのはとってもうれしいんですけど、
正直、今は出直してほしいです……。
「うん、まぁね。そんなとこ~。上がってい?」
中を指差す桃川さん。
「あ、はいっ」
「お邪魔しまーす」
そう言いながら桃川さんは上がっていきます。
忘れ物なんてあったっけ?
DVDはデッキから全部取り出したのを最後確認したし。
サイフ?タバコ?
でも、サイフだったらすぐに気づくだろうし。
しかも、明日会うんだから連絡くれたら明日渡すのになぁ。
う~ん。