「私ね、正月に、カレシと別れたんだ」

ありさちゃん、少しさみしそう。

でも、いいな。

『カレシと別れたんだ』って言ってみたい。
だって、その別れるカレシがそもそもいませんから。

うう、自分で言ってかなしくなりますね……。


で、そのカレシさんのことを話してくれました。

その人は同じ高校の1コ上の先輩で、今はW大学に通っているそうです。

去年は、相手は大学で楽しく忙しい生活を送り。

一方ありさちゃんは受験生。
勉強が忙しいため、会う時間が少なかったそうです。

当然ですよ。
私も死ぬ物狂いで勉強しましたもんっ。

だって、ウチの大学、ずっと模試でC判定でしたから。

はぅ、受かってホントよかったです。


あぁ、でありさちゃんのハナシに戻りますね。

「口が巧いオトコだったから、『ありさの勉強、邪魔したくないから』とか『バイト忙しいから』とか言ってて。
まぁ、それも多分ウソじゃないんだけど。
でも、本当のところは他の人との付き合いで忙しかっただけみたいなんだよね」

ありさちゃんはふ~っと溜め息をついたあと、力なく笑いました。

その顔がとっても切なげできれいです。
なんで同い年でこんなに違うんでしょうか。

なるほど。
要するに他の女性に乗り換えたのですね……。


「でもさー、ひどくない?正月だよ、正月。こっちは受験のことで、ただでさえテンパってんのにさ。おかげでW大落ちたわよ。アハ」

ありさちゃん、馬鹿らしそうに一笑して首をかしげました。

「あ!その人と付き合う前からWが本命だったんだよ」