「やったね~」

桃川さんは撮ったばかりのプリクラシートを機械から取り出すと、ニコニコしながら私に言ってきます。

「ふたりだけの想い出だね」

“ふたりだけの想い出”ですと!?

まったく!
なんで、このお方はこういうことを平気で言えるんでしょうか?

本当に、桃川さんはなにを考えているんでしょうか?
私のことをからかってることはわかってます。それは大前提です。

それに、美紀ちゃんがいるのに……。
そして、今日は美紀ちゃんがいないからって、ハメをはずしすぎですよね。

もう……。


「じゃ行こっか」

桃川さんは当たり前みたいにして私の手を握ってきました。

美紀ちゃんいたら絶対にこんなことしてきてないのに。
桃川さん、あなたはひどい人です。

はぁ……。

そして、私も私です。

色んなことを思っても、やっぱりうれしいって思ってるんですもん。
桃川さんの手を離すことはできません。

私、こんなに自分がエゴイストだって初めて知りました。
これが恋というヤツなんですね、きっと。