あ……。
奥のほうに女のコたちの人だかりがあります。
はい、みんなプリクラ撮ってます。
いいな、撮りたいな。
せっかくの記念に4人で撮りたいな。
え!
桃川さんとふたりでなんてそんなぜいたくなことは思ってませんからっ!
ホントですよ!
「どうした~?」
私が立ち止まったのに気づいた桃川さんが声をかけてくれました。
「撮りたいの?」
私が見てるほうを見て訊いてくれます。
「あ、えっと。ううん、大丈夫ですっ」
「えー、撮ろうよ」
「え、いいですよ~」
顔の前で両手をブンブン。
なんかすごく恥ずかしい。
ひゃあっ!
桃川さんが!桃川さんが!
私の耳にそっと両手を当ててきます。耳打ちというヤツです。
「オレが撮りたいの~」
はわわわわわ。
桃川さんの息がかかるだけでドキドキものです!
カッチコッチンになってしまいます。
桃川さんは私から離れると、笑顔で「ねっ」と言ってきます。
はううう。はううう。
し、心臓が!
心臓が破裂してしまいます!
本当に今日だけで寿命が確実に減ってしまいました。
長生きできませんね、この様子だと……。