私も見たいな。

「見んなよー。金払え」

私がチラッとのぞいたら、石田さんは見えないようにパンフレットを閉じました。

「えー。ケチんぼー」

反対側に座っている桃川さんのほうを見ると笑っていました。

うぅ、子供っぽかったですね、私。
恥ずかしいな。


「はい」

桃川さんがロビーにあった映画のチラシをくれました。

「ありがとうございまーす」

ん!?

ぎゃあああああ。
こ、このチラシはさっき見たホラーのチラシです!

「もうっ!これ、さっきのじゃないですかー。こわーい!」

私はチラシすら触ることに恐怖を感じて紙のはじっこを摘み、桃川さんのひざの上に置きました。

すると、

「ひゅ~」

桃川さんはチラシの端を摘んでヒラヒラさせて、私の顔にチラシをくっつけたりしてきます!

「もう~!やめてください!」

桃川さんがケラケラ笑ってます。

んもうっ!
この人ってある意味、石田さんよりサディスティックかもしれませんね。


というか。
というかですね。

桃川さん、今日いつもよりテンション高めのような気がするのです。

はてはて。

あ、もしかして、美紀ちゃんがいなくてハメをはずしてるのですね!
鬼の居ぬ間の?

はっ!
べ、別に美紀ちゃんが鬼と言ってるワケではありません!