「石田さん。ホントに観るんですか?」
チケット売り場の前で私とおんなじように立ちすくんでる石田さんに視線を送ると、
石田さんはしぶ~いカオで私を見返しました。
「あー?オレも、このテは好きじゃねぇけどよぉ、一応は観とかなきゃな……」
石田さんも乗り気じゃないようなんですよ。
さっきの映画といい、今回のホラー映画といい、
石田さんとは映画の趣味が合いますね。
「えー、観なくていいですよー!」
「だよな、でもなぁ」
石田さんの視線はコイケンさんへ向けられます。
「はぁ!?チョー楽しみじゃねぇ?早く買うぞ、石田」
わお!コイケンさんが石田さんに見える~。
ちょっと苛立ってます……。
「真由ちゃん。こわかったらオレに抱きついていいからね」
桃川さんは飄々として言ってきます。
「もうっ。こんな映画、こわいに決まってるじゃないですかー。ねぇ石田さん」
「そーだよ。お前らおかしいんだよ」
「あー、もうっ。金貸せ」
コイケンさんは石田さんから会費の入った封筒を強引に受け取ると、
私と石田さんを押しのけて受付に並びました。