エンドロールが流れてきて、徐々に会場が明るくなってきます。

「はぁ~!」

おトナリの桃川さんは大きく伸びをして、
「いい映画だったんじゃない?」
と私に視線を送ってるのがわかります。

「はい。どっでも…」

あー泣きすぎて鼻声です。

きっと顔もぐちゃぐちゃ。

見せたくないので、ハンカチタオルで顔を覆いながら、
ゆっくりと桃川さんを見ます。

そして、ゆっくりと目元だけハンカチから出すと、
一瞬あっけにとられたカオの桃川さん。
プッと吹き出しました。

「目、ヤバイね」

「え!や、やっぱりですか!」

すると、さっとスクエア型のシンプルなコンパクトミラーを私の顔に当ててくれました。

ぎゃあああああああ。

ひ、ひどい。ひどすぎます。
パンダ目になってます!

「ちょっ、ちょっ!これはっ!急いでちゃんとしてきます!」

「うん。じゃあ、ロビーで待っとくね」

「はいっ!」