わお!
桃川さんが顔を覗き込んできました。

「よろしくね」

もう!その笑顔、禁止~!

「……はい」

うつむいて返事をしました。

「モモ~」

石田さんの声がします。
顔を上げると、ちょうど前を歩いていた石田さんがこちらを見ていました。

「はい?」

「いちゃつくなよー」

んまっ!
もうっ!

石田さんをにらみましたけど、トーゼンですけど、ち~っとも効果ナシです。

「えー、どうしよっかなぁ」

「はいぃ!?」

思わず勢いよく隣の桃川さんを見ます。

「ねぇ~、真由ちゃん」

「ねぇ~って言われましても!」

ぎゃわああああ!

桃川さんが私の右手を握ってきました!
なんということでしょう!

「ねぇ~」

桃川さんはつないだ手をブラブラとさせながら、もう一度私の顔を覗き込んできました。

もうっ!
心臓に悪いです!

「知りませんっ」

ぷいっ。そっぽを向くのです。

むむむ。
石田さんの笑い声が聞こえてきました……。