「あれって桃川さんだよね?」

ありさちゃんが不思議そうに言います。

「うん、多分」

「声かけてみよっか」

その時、桃川さんの肩を笑いながら隣の方がたたきました。

休み時間のため、校舎全体がひどくざわついていたので、おふたりの会話ははっきりときこえませんでした。
だけど、2人が楽しんでいる模様は私たちの目に明らかでした……。


「声、かけそびれちゃったな」

ありさちゃんもおそらくおんなじことを思ったんでしょうね。きっと。

「友達かなぁ?」

ありさちゃんの疑問に私は答えることができませんでした。


その後、桃川さんたちは部室に入りました。

「あれ~?あの人もサークルの人なのかなぁ」

ありさちゃんがきょとんとしています。

やっぱり、あの人が昨日言ってた方なのかな……。

なんだかちょっと部室に行きたくないな。

でも、そんなことは言えませんし、そんな態度は見せないのです。キリリッ。