「じゃ、オレ帰るね」

桃川さんの足が1歩下がりました。

あ……。

「さみしいんでしょう~?」

むむむむ!ムカッ!

「さーみーしーく、な~ぁい!」

「ハイハイ」

桃川さんは後ろ歩きで少しずつ離れていきます。

……ウソです、ホントはさみしいです。
でも、そんなことは言えません。


「お疲れ様でした!」

ペコリ。頭を下げました。

「着いたらline送るね」

「はいっ」

「真由ちゃんが中に入らないと、オレまともに歩けないんだけどぉ」

「あ、はい!」

そ、そうですよね!
私は慌ててアパートの中に入りました。

でも、気になる!
ということで、振り返りました。

あ、桃川さんはもうこちらには背を向けて駅へと向かっていました。

ちょっとだけさみしいですね。

わっ!

「視線感じちゃった」

ニコニコしながら振り返ってくれました。
嬉しいですけど、恥ずかしいですね。

「さ、中に入って」

「はいっ」

さみしいですけど、
いつまでも引き止めるのは申し訳ないので、素直に入ります!