わわわ!手が当たっちゃいました。
「すみませんっ」
「うんにゃあ、いいよ~」
ぎゃほっ!
桃川さんが顔を覗き込んできました。
「てか、つないどく?」
桃川さん、ぜっったいに私のことを試してます。
ニコニコニコニコ、邪気のない笑顔でいますが、絶対に私のことを陥れて本気にさせようとしています!
むむむむむ~!
私をこれ以上好きにならせようたってそうはいきませんっ!
「つーなーぎーまーせーんっ!」
思わずほっぺた膨らましちゃいます。
「え~」
ぎゃあああああ。
なんたること!なんたることを!
えぇ、どうしたのかですと?
ちゃっかり私の手を握ってきたのです。えぇ、えぇ。
「つながないんですぅ!」
ぎゃあっ。声が上擦ってしまいました。
「えーいいじゃん」
そう言いながら、私の顔をじっと見て、「ねっ」と笑顔で同意を求めてきました。
うぅぅぅ。
もうっ!
なんなんですか、この方はっ。
もう、なんなんですか!
私を期待させて!
「ま、そんなにつなぎたいなら~、つないであげててもいいですけどぉ」
「やったー」
はいっ!?
冗談っぽく言ったことに対してやけに素直に返されてしまいました。
「やったね~」
はうっ!
破壊力バツグンの笑顔を振りまいてどういう見解なんですか、まったくもう!
どーせ!
どーせ、桃川さんのことです。軽いかる~いノリなのです、きっと。
チャラ男さんですもん。
当代随一チャラ男です。