そして、私と石田さんの口争が繰り広げられている中、桃川さんはただ笑ってるだけでした。

ホント、この方はヨユーですね。余裕綽々さん。

というか。
他人事なのですか?

どうせ私のこと好きじゃないから、からかわれても気にならないのかもしれませんね。

うん、チャラ男さんですからね。
こんなこと言われ慣れてるんでしょうね、きっと。

殿方とウワサになったことのない私には見当もつきません。


ドアが閉まって電車は走り出しました。


あ、今度は八王子方面の電車がきましたよ。
残りの方もそれに乗って、ホームには誰もいなくなりました。

ちなみにですね。

京王線の駅で「高尾山口」ってありますよね。

私、「たかおやまぐち」って呼んでました。はい。
正解は「たかおさんぐち」ですよね……。

恥ずかしいので、ここだけのヒミツでお願いしますね!


「じゃ、行こっか」

「……はい」

こうして、私たちは甲州街道に沿った裏道を笹塚方面に向かって歩き始めたのです。


ドキドキします。
ドキドキ、土器土器?

ああ、すみません!
キンチョーしちゃって。

しょうもないことを!
お目汚しお許しください!

なんせ男性とふたりきりで歩いて帰るなんてホント生まれて初めてなのです。
ドキドキがとまりません!