駅に着きました。

みなさん、続々と駅の中へ入っていきます。


改札口のこちら側には私の他には石田さんと桃川さんがいます。

石田さんはニヤニヤしていてなかなか入ろうとしません。
どうしたんでしょうね?


「モモ~。もちろん送ってやるんだろ?」

もぉ!!
石田さん。あまりにもしつこいと思いませんか!

さすがの私もプンプンじゃすみませんよ。
プンプン!プンプン!プンプン!プンプン!


「はい。そのつもりですよ」

ええええ!
桃川さん、ごくごく冷静に答えましたよ?

「い、いや、いいです、いいです。いいですよぉ!」

両手を胸の前でブンブン振っちゃいます。あとずさりしちゃいます。

ひー、申し訳ないですよ!

「もう遅いからね」

桃川さん、笑いながらも当然といったカオをして私を見ました。

確かに遅いですね、夜も更けてきましたし。

……ん!?
待て待て待て~ぇい!

桃川さんはチャラ男さんだし、お持ち帰られ男さんだし。
こないだだって、わざわざホームまで見送ってくれたし。

うん、この人にとってはフツーのことなだけですね、きっと。
そうだ、そうだ!フツーなんだっ!

……でも、特別なことなんじゃないかって思ってしまいます。

ブルブル、ブルブル。心の中で頭を振りました。

私、冷静になるんだ!なるんだ、ワタシーーーーー!

うん、桃川さんにとってはフツーなんだぞ。私。

よし、大丈夫です。言い聞かせました!