「は~ぁ」

お店を出る時、前にいた桃川さんは大きくため息をつきました。

「な~んだよ。ま~だ落ち込んでんの?」

上着を着ながら、私の隣に並んでる石田さんがニヤニヤとして桃川さんを見てます。

桃川さんが振り返りました。
珍しくショボボボンってカオしてます。

「だ~って。マジであのことはきっついですも~ん。ヤリ逃げですよ、あれは。被害届出さなきゃ」

「まぁまぁ。お前もオイシイ思いしたんだろ」

「えぇ!?ぜんっぜんですよ!おまけにフラレた後さんざん言われましたもん、オレ。『早かった』だの、『前戯短い』だの。名誉毀損もいいとこですよ~」

アタフタ。
おふたりの会話ついていけないよぉ。


あーでも、結局桃川さんが今恋人がいるかどうかはきけませんでしたね。

ききたいような。ききたくないような。

いるってきいたらスッパリあきらめきれるような気がするんですけど。
でも、やっぱりきくのはこわいデス。



飲み/過去 終