エレベーターをおりて、レッドカーペットを歩く。

一番奥の角部屋。

“4501”の部屋番号。

男の後について入室する

「あの、つかぬ事をお尋ねしますが、この部屋はあなたのご自宅でしょうか……?」

飛鳥は恐る恐る尋ねた。

男は鼻で笑って「他にどう見える」と言い返してきた。


金持ちだか年上だか知らないが、人としてその態度はいかがなものか。


「お言葉を返すようだけど、アタシには色んな場所に見えますけど!
ホテルのスイートだったり、この前やってたドラマに出てた大富豪の部屋にも見える。あと、理由も告げずに女子大生を連れ込む悪趣味男の部屋とかね!」

腹を立てた飛鳥は刺々しい口調で言った。

最後の一言が気に障ったのか、男は苦虫を噛み潰したような険しい表情を浮かべながら飛鳥の方に寄ってくる。

「な、なによ……。ヤル気?」

彼の顔つきがあまりにおっかなくて、飛鳥は思わず後ずさりしてしまう。

防衛本能でファイティングポーズくらいはやってみるも、身を守るにはあまりにお粗末な構え方。

あっという間に壁際まで追い詰められ、彼の手のひらがドンッと壁に叩きつけられる事で完全に逃げ場を失ってしまった。

「惨めに売られたお前を俺が三億で買ったのを忘れたか。もう、お前は他の誰のものでもない……俺のものだ。自覚しろ」

彼の瞳は絶対的支配者の目をしている。

その目には誰も逆らう事が出来ない。