髪を乾かすのが面倒で、そのまま寝ようとしたら『風邪をひくぞ』とドライヤーを渡された。
仕方なく丁寧に髪を乾かしてから、用意された布団に横になった頃には、時刻は午前1時を回っていた。
武田さんは一仕事終えたようで、パソコンを仕舞い、シャワーを浴びに行っている。
あー、なんでこんなにドキドキするんだろ。
薄暗い部屋の中でゴロゴロと寝返りを打って、眠気がくるのを待つ。
しかし、さっき急接近した瞬間の武田さんの顔を思い出すとうまく眠れない。
しばらくすると風呂場から戻った家主が、片手に缶ビールを持ち、なんと浴衣姿で戻ってきた。
「普段からそんな格好なんですか」
布団の中から問いかける。浴衣が似合いすぎている。
「あぁ。此れはただの寝巻きだ。それよりお前はまだ寝ていないのか」
寝巻き、という単語を久々に聞いた気がした。
浴衣って、寝にくくないのかな。
「疲れてるので寝たいんですけど……居酒屋で寝ちゃったせいで、なんか寝つけなくて」
「ビールでも飲むか」
「ビールは苦手です」
「……そうだったな。悪いが今はこれしかない」
浴衣姿の武田さんはそう言ってふっ、と笑いながら濡れた髪をかき上げた。その仕草にまた少しドキリとする。
普段はガチガチに固められている髪が、今は自然に流れている。それだけでなんだか違う人みたいだ。
その人は、ちゃぶ台の前であぐらをかき、時計をチラッと確認したあと、少し間をおいて缶ビールをプシュッと開けた。そしてそれをぐびぐび飲み、はぁーと大きくため息をついて缶を置く。まさに『スイッチオフ』といった感じだった。
顔には少し疲れが見えて、それがかえって渋い色気を感じさせていた。
なんか、絵になるな。
初めて目の当たりにした武田さんのオフの姿。
いつもどんな時でもシャキシャキ動いているイメージだったので、新鮮すぎて動揺した。
あれ??武田さんって、こんなにカッコよかったっけ……????
布団をかぶってじっと観察していると、見てはいけないような、でももっと見ていたいような不思議な気分になった。
「連勤で疲れているだろう。早く寝ろ」
「武田さんこそ私より連勤してるんですから、早く寝たほうがいいです」
「あぁ、これを飲んだら寝る」
「じゃ、おやすみなさい」
私は謎の動悸を誤魔化すようにして、壁側を向いて布団を頭までかぶり、目を瞑った。
仕方なく丁寧に髪を乾かしてから、用意された布団に横になった頃には、時刻は午前1時を回っていた。
武田さんは一仕事終えたようで、パソコンを仕舞い、シャワーを浴びに行っている。
あー、なんでこんなにドキドキするんだろ。
薄暗い部屋の中でゴロゴロと寝返りを打って、眠気がくるのを待つ。
しかし、さっき急接近した瞬間の武田さんの顔を思い出すとうまく眠れない。
しばらくすると風呂場から戻った家主が、片手に缶ビールを持ち、なんと浴衣姿で戻ってきた。
「普段からそんな格好なんですか」
布団の中から問いかける。浴衣が似合いすぎている。
「あぁ。此れはただの寝巻きだ。それよりお前はまだ寝ていないのか」
寝巻き、という単語を久々に聞いた気がした。
浴衣って、寝にくくないのかな。
「疲れてるので寝たいんですけど……居酒屋で寝ちゃったせいで、なんか寝つけなくて」
「ビールでも飲むか」
「ビールは苦手です」
「……そうだったな。悪いが今はこれしかない」
浴衣姿の武田さんはそう言ってふっ、と笑いながら濡れた髪をかき上げた。その仕草にまた少しドキリとする。
普段はガチガチに固められている髪が、今は自然に流れている。それだけでなんだか違う人みたいだ。
その人は、ちゃぶ台の前であぐらをかき、時計をチラッと確認したあと、少し間をおいて缶ビールをプシュッと開けた。そしてそれをぐびぐび飲み、はぁーと大きくため息をついて缶を置く。まさに『スイッチオフ』といった感じだった。
顔には少し疲れが見えて、それがかえって渋い色気を感じさせていた。
なんか、絵になるな。
初めて目の当たりにした武田さんのオフの姿。
いつもどんな時でもシャキシャキ動いているイメージだったので、新鮮すぎて動揺した。
あれ??武田さんって、こんなにカッコよかったっけ……????
布団をかぶってじっと観察していると、見てはいけないような、でももっと見ていたいような不思議な気分になった。
「連勤で疲れているだろう。早く寝ろ」
「武田さんこそ私より連勤してるんですから、早く寝たほうがいいです」
「あぁ、これを飲んだら寝る」
「じゃ、おやすみなさい」
私は謎の動悸を誤魔化すようにして、壁側を向いて布団を頭までかぶり、目を瞑った。