新人の2人は、まさに対照的といっていい。
ボケっと2人を眺めていると、武田さんが咳払いをしたので仕方なく私も口を開いた。
「あー。どうも、高畑です。私も新人みたいなもんで、なーんにも分からないんで、仕事については全て、この武田さんに訊いてください」
にっこりと笑顔を作りながら、武田さんを両手で示す。
「武田さんは見ての通り仏頂面だし、ちょっと口が悪くて、パワハラで訴えられてもおかしくないくらい厳しいですが、仕事については懇切丁寧に指導してくれます! 分からないことは全て武田さんに教えてもらってください。私のことは頼らないほうがいいです。空気と思ってもらって結構なんで。よろしくです」
そう一気に言い切ると、武田さんは思いっきり不機嫌な声で「高畑……」と呟いた。顔がいつにも増して怖い。
澤井さんは口をポカンと開けて言葉を失っている。まぁ、当たり前だ。こんな奴が先輩だなんて失望しているに違いない。
しかし、それでいい。
奥田は長い前髪をいじりながら「はーい」と言ったものの、話を聞いていたかどうか怪しい。
まったく、ふざけた態度だ。
「……まぁいい。仲良くやってくれ」
武田さんは盛大にため息をついて、右手で顔を覆った。
この先の武田さんの苦労を想像し、ご愁傷様と言いたい気分だった。
その日1日、武田さんは新人につきっきりで指導していた。
まだ初日だからか、努めて穏やかに接しているように見えた。
奥田のやる気のない態度に、段々顔が険しくなっていたけれどまだ雷は落ちていない。
ボケっと2人を眺めていると、武田さんが咳払いをしたので仕方なく私も口を開いた。
「あー。どうも、高畑です。私も新人みたいなもんで、なーんにも分からないんで、仕事については全て、この武田さんに訊いてください」
にっこりと笑顔を作りながら、武田さんを両手で示す。
「武田さんは見ての通り仏頂面だし、ちょっと口が悪くて、パワハラで訴えられてもおかしくないくらい厳しいですが、仕事については懇切丁寧に指導してくれます! 分からないことは全て武田さんに教えてもらってください。私のことは頼らないほうがいいです。空気と思ってもらって結構なんで。よろしくです」
そう一気に言い切ると、武田さんは思いっきり不機嫌な声で「高畑……」と呟いた。顔がいつにも増して怖い。
澤井さんは口をポカンと開けて言葉を失っている。まぁ、当たり前だ。こんな奴が先輩だなんて失望しているに違いない。
しかし、それでいい。
奥田は長い前髪をいじりながら「はーい」と言ったものの、話を聞いていたかどうか怪しい。
まったく、ふざけた態度だ。
「……まぁいい。仲良くやってくれ」
武田さんは盛大にため息をついて、右手で顔を覆った。
この先の武田さんの苦労を想像し、ご愁傷様と言いたい気分だった。
その日1日、武田さんは新人につきっきりで指導していた。
まだ初日だからか、努めて穏やかに接しているように見えた。
奥田のやる気のない態度に、段々顔が険しくなっていたけれどまだ雷は落ちていない。