昼休み、カツ丼(大盛り)にがっついていると、イヤ〜な声が聞こえて、思わず顔が引きつった。

「凪っち~!」

「ヤギちゃん……」

オネエな同期がニヤニヤニヤニヤ意地悪な笑みを浮かべながら、体をくねらせて近寄ってくる。

「そんなあからさまに嫌そうな顔しなくてもいいじゃないのぉ~」

「し、してないし!……休憩?」

「ううん、今日はもう終わり!朝食とミーティングだけだったのよ〜。たまにはこんな楽な日もないとねぇ」

ヤギちゃんは自分の肩を揉みながら、私の隣の席に座った。

料飲部は、どこの部署よりも不規則なシフト設定だ。1日中働かされる日もあれば、中抜け(朝食終了からディナータイムまで4~5時間の休憩が入る)や、短時間勤務の日もある。料飲部にいたときは、よくシフトの確認不足で時間を間違えて怒られた。

それに比べて、私の今のシフトは、基本9時~18時って決まってるし、デスクワーク中心だし、楽だなぁと思う。
……精神的には辛いけど(主に、武田さんという存在がそうさせているような気もする)

「見たわよぉ~!昨日のウォーキング……くくくっ」

あー。絶対言われると思った。

ヤギちゃんは、笑いをこらえ切れないといった様子で、肩をバシバシ叩いてくる。
私はちょっぴりウンザリしながら、冷めかけたカツ丼を、黙って口の中に掻っ込んだ。