「武田さん。次からは、もっとまともな人をヘルプに付けてもらえません? こんな使えない子が来たら、かえって迷惑なんです」
ひぇ〜! そこまで言う?フツウ。
その上、武田さんにそんなエラソーな口をきくなんて! 伊藤さんってすげー女だ。
私は目をひん剥いた。
すると武田さんは、「ほう」と口の端を吊り上げた。
「仕事の出来る者は、能力の低い人間をも上手く動かす」
「……っ!?」
「伊藤は、人にすぐ “使えない” 、“役立たず” などと言うが、それは単に、お前がスタッフを使いこなせていないだけではないのか」
伊藤さんは顔を真っ赤にして、口をパクパクと動かしている。
武田さんは余裕の表情で、言葉を続ける。
「高畑はこの通り、覚えは悪いし、要領も悪い。しかし、最初から “使える” 人間なんていない。伊藤はもっと余裕を持った方がいい。スタッフに的確な指示が出来るぐらいにな」