「あの。これ、どこに持っていったらいいですか」

「はぁ? くだらない質問はやめてよ」

「……」

「一応宴会部にいた事あるよねぇ?」

「はい、ありますけど」

「それなら分かるでしょう?」

「……忘れてしまったから聞いてるんですが」

だから早く教えてくれよ!!
これを処理する場所を!!

「はぁ〜。もういい! 私が持っていくからっ」

伊藤さんはヒステリック気味にそう言って、残飯バケツをひったくっていった。

「お、お願いします。で、私はどうしたら……」

「はぁ!? 自分で考えて!」

考えろって……勝手なことしたら怒るくせに。

絶対この人に嫌われてる、私。
宴会部にいるときから、やたらと当たりが強かったんだよなあ。


ふて腐れながら、とりあえず目の前にあるグラスを下げることにした。
丸いトレーの上にグラスをどんどん乗せていき、それを慎重に持ち上げる。

すると、背の高いグラスが、バランスを崩してフラッと傾いた。

ヤバイ!

そう思ったときには、時既に遅し。
グラスは床に向かって落ちてゆき、ガシャンッと派手な音を立てて、割れてしまった。

あー、やっちまった。

(以前シャンパングラス10個を一気に割ったことがある私としては、1個で済んで良かったと言うべきかもしれないが)