正に、足の踏み場も無い部屋。
1歩、歩くたびにホコリが舞う。

テーブルの上には、化粧品、使い終わった食器、数日前の食べ残し、飲み残し、化石(?)などなど盛りだくさん。

唯一、ベッドの上だけが安全地帯といったところ。(しかし、ベッドの下は見てはいけない。絶対に)

とまあ、家主の自分ですら、思わず目を背けたくなるような『汚部屋』だ。
沙耶に『ゴミ倉庫』と言われても仕方がない。

きっと、捨てるべきものは沢山あるのだろうけど、モッタイナイ精神が邪魔をして、捨てられない。
昔から「物は大事にしろ」と、父親に教えられていたせいだと思う。
実家では、お母さんが掃除をしてくれていたから、辛うじてどうにかなっていたけれど、一人暮らしを始めた途端この有様。
もう、どこからどう手を付けて良いのか分からないレベルだ。


私は、散らかったテーブルの上を少しだけ片付けて(物を床に落としただけ)さっきコンビニで買ったジューシー唐揚げ弁当と、『私のメモ』と広げた。

汚部屋の真ん中で、弁当を頬張りながら、黙々と考える。
こんな面倒くさい課題を引き受けてしまったことに、今更ながら激しく後悔している。


「何を書こう……」

ぼーっと考え事をしていたせいで、ジューシーすぎる唐揚げの油がしたたり落ち、真新しい『私のメモ』の表紙の裏にさっそく油染みを作った。

ちょっと絶望した。
もうやる気が無くなった。まだ一文字も書いていないのに。


「まぁいっか。テレビ見よ」


こんな時、心から実感する。


--私って本当にダメ女だ。