私は会社の寮に住んでいる。

寮、といっても、会社の最寄り駅から2駅先にある普通のワンルームマンションだ。

大抵の社員はそこに住んでいる。
家賃は光熱費込で月々1万円という超破格!

寮は2箇所あるらしいけど、もう一つはどこにあるのかよく知らない。

私の部屋は404号室。最上階だけど、エレベータがないから階段の昇り降りが少し苦痛。
しかも『4』は『死』を連想するから不吉だ。


「ただいま~……。汚っ」

いつものことながら、部屋に帰るとゲンナリしてしまう。

まず玄関を開けると、大量の靴が散らかっている。
四季折々の靴(春色パンプス、ビーチサンダル、ショートブーツにロングブーツ……等々)が共存している、謎の空間。
仕舞うのが面倒で、シューズボックスは数えるくらいしか使ったことがない。

入ってすぐにあるキッチンには、3,4日前に使った食器達が放置されている。

キッチン周辺は基本、臭い。
気付くと食器にカビが生えていることもある。


6畳しかない部屋は、服とか、書類とか、本とか、ゴミとかで埋め尽くされ、その上、中身不明の段ボール箱(この寮に引っ越してきて以来、1度も開けていない)が2つも積まれている。

しかも、大量の洗濯物がずらりと、干しっぱなし。
私には、洗濯物をたたむ、という概念がないのだ。

ゆえに、すぐにハンガーが足りなくなる。
そして行き場を無くした服達は、その辺りに放置され、どんどん重なってゆくので、今や立派な地層が出来ている。