「お母さん行ってきま〜す!!」


「あぁ、まりないってらっしゃい。あっ、今日お話があるから早く帰ってきてね☆」


「???りょ、りょうかい!」



あたし、永野まりな(ナガノ マリナ)はサンシャイン学園に通う高校2年生。
あたしの家は母子家庭でお父さんはあたしが小さい頃に亡くなってる。
あたしはお父さんのこと全然覚えてないんだけどね。



そして、、


「おいバカ。先行こうとしてんじゃねぇよ。」


あ、きたきた。
あたしの隣の家から出てきて挨拶してきたやつ、あたしの幼なじみの 飯田気一(イイダ キイチ)
コイツは悔しいほどイケメン。顔だけね。
聞こえなかった人のためにもう一度言うけど 顔だけね。
じゃ何がいけないって?、、、それは性格。



「別に先行こうとしてないし。ていうか気一が遅いんじゃん!」



って言い返しても




「バカがグチグチ言ってんじゃねぇよばかまりな」



とはぐらかされる。ね?わかったでしょ?
こいつは最低最悪の幼なじみなのだぁぁぁぁあ。


そしてなんだかんだ学校につくと




「キャァァァァァァァァァァァァァァア」



はぁ。もうまったく。
え?何が起きたって?

火事じゃないよ。地震でもないよ。
なにかというと




「気一君こっち向いて!!!!!!きゃぁぁぁあ目が合った!!!!」



そうなんです。この顔だけイケメンの気一さんのファンの子たちの奇声。
そしてその奇声と共にやってくるのが、、


「毎日毎日あの女なんなの?気一くんの全然釣り合ってねぇし」


そう。あたしに対しての陰口。
気づいてますからね!?声デカイですからね!?
だからあたしは気一が嫌い。どれだけ一緒に登校したくないと言っても聞いてくれない。

まったくもう。こまっちゃうわ。


そんなこんなでもう教室に着いたみたいだ。
あたしはA組で 気一はその隣のB組。
クラスが一緒じゃないだけよかったなって心から思ってる。



「じゃぁなバカ桃香」



くっそーーーーーーーー!!!!!!!!!



「うるさいわね!あほ気一!!!!」


あたしは言い逃げするように走って教室に入った。



「まーりな♪」

「ああああああはるなぁぁぁ」



朝から可愛い笑顔をあたしに向けてくれるこの美少女。はるな。
はるなはかわいい。とてもかわいい。でも毒舌。


「まりなあさからなにはしゃいでるわけ?きもいから。」

くっそー!!!気一もまりなも!みんなであたしを虐めて何が楽しいんだぁぁぁぁあ!!!!!


、、、なんて言ったら殺されるからここは



「あ、あはははは はるなは今日も可愛いねあはは」



うん、自分でもキモいと思うよだから触れないでねはるな。



「だからキモいっつってんの。で?また飯田くんと一緒に来たんだ?」



思いっきり触れられたぁぁぁあ
もうあえて最初の部分はスルーしてやろう



「そうなんだよぉぉぉぉおあいつなんなの?あたしが毎朝悪口言われて楽しんでるわけ!?」



「意外とはるなのこと好きだったりしてね 〜 」


ニヤニヤしながらそんな事言われてもねぇ。
でも絶対に、、、、




「ありえねえよおおおおうおうおうお」




てな感じで午前の授業も終わり、もうお昼ご飯。
あたしはいつも屋上で まりなと食べてる。




「今日新しく出来たクレープやさん行かない ??」


やった!!行きたい!


、、、、あ、今日確かお母さんがお話あるって言ってたな。今日に限ってーーーーー!!!


「ごめん。今日お母さんがお話あるから早く帰ってきなさいって言ってた」


あたしが急に悲しそうな声ではるなに言ったら
すぐ微笑んでくれた。


「わかった。じゃあ明日行く??」


「うん!!!あたしいつもチョコ系だから明日はいちご系にしようかな〜。」




すごくすごく楽しかった。浮かれていた。
、、、、、、このときまでは。





午後の授業も終わりあっという間に終礼。


「帰り道は気をつけるんだぞー。じゃあまた明日な」


というなんとも雑な掛け声とともに生徒は帰っていく。


「よし、あたしも帰ろ。」
そういってなるべく早く帰った。
それにしてもお話ってなんだろーなー?
お母さんウキウキしてたからきっといい話だ !!



「ただいまぁ 〜 」

あたしがそう言ってドアを開けると


「あらぁまりな〜おかえりなさい。それでお話があるの!!ここ座って♪」

お母さん楽しそう!
家は母子家庭でお母さんにたくさん迷惑かけちゃってるからお母さんがこうして笑ってるとあたしまで嬉しくなるもんだ。


ー 5分後 ー

「、、、え?」

訳が分からない。なぜ。なぜ。なぜ。なぜだ。


「だぁーかぁーらぁーまりなは気一くんと一緒にこの家に住むのよ ♪」



あのですね。なぜこのような事態になったのかを説明させていただきます。



ー 5分前 ー

「それで?はなしって?」

あたしがそうお母さんに問いかけると

「お母さん明日から北海道行ってくるのよ 〜 ♪ちょうど見てたチラシに抽選で北海道旅行っていう企画があって応募したら見事当たりました!当たらないと思ったから桃香には言ってなかったんだけど」


ちょちょちょちょちょっとまて。落ち着け。落ち着いて対応しよう。


「あたしだって学校あるよ。休んだら授業分からなくなるし...てかそもそもどのくらいの期間北海道にいるわけ?」


「あ!それなら大丈夫よ〜☆気一君に来てもらうから!えっとたしか3ヶ月くらいだった気がするわ♪それにしても楽しみだわ〜」


まてまてまてまてまて。今とんでもない幻聴が聞こえた。気がする。お母さんが楽しそうに北海道を妄想してる中悪いけどもう一度聞かせていただきます。


「お母さんが北海道行ってる間あたしは??」


そしたらお母さんの表情がさらに明るくなり


「だから言ったじゃないの!!気一君に来てもらうのよ♪夢乃さんと一緒に行くから。」


夢乃さんとは気一のお母さんの名前だ。

ということはもしや、、、

「ど、同居!?!?!?むりむり絶対無理!!」


「そっか、、でもまりなが無理って言うなら仕方ないわよね。せっかくの北海道だったけど今回はお断りしようかしら。」


明らかに 負のオーラ を出してきたお母さん。
お母さんはあたしを1人で育ててくれたから行きたいところもきっと行けてないはず。
こんな事言われたら、、


「い、いいよ!行ってきなよ!」


って言うしかないじゃん、、。