「……そんな場所で記念撮影しちゃったんだ……」


美津が聞き取れないほどの小さな声でそう言った。


気分が悪いのか、手を口元に当てている。


彰の話が本当なら、あの丘には人間以外の者が住みついていてもおかしくない。


強い因縁がはびこっていてもおかしくない。


あたしたちは無言のまま歩き出した。


これからどうすればいいか見当もつかないが、当初の予定通り丘まで行ってみることになったのだ。


けれど、今度は絶対に『立ち入り禁止』は超えない。


丘の上は相変わらず何もなく、もっと先へ進めばいつもの街並みを見おろせた。


あたしたちはロープの前で立ちどまり、緑色の丘を見渡した。


何でもない丘。


あちこちに野生の花が咲いていて、緑は太陽を受けてキラキラと輝いている。