10人前後の人が同じ場所で死んでいれば、あたしたちの耳に入ってきてもいいはずだった。


「それは……」


彰はそこまで言い、また言い淀んだ。


更に言いにくい話があるようだ。


それでも聞くしかない。


あたし達は黙って彰の次の言葉を待った。


「あそこで亡くなった死体はいつも誰かにいじられていたって話だ。内蔵がごっそりくりぬかれていたり、目玉だけがなくなっていたり。


毎回そんな死体が見つかっているから、大人たちもあまりあの丘での自殺の話をしなくなったんだ」


彰の話を半分ほど聞いたあたりから、背筋がゾクリと寒くなっていた。


「なんだよそれ。誰かがイタズラしてるってことか?」


翔太が聞く。


「詳しくはまだなにもわからないらしい」


彰はそう答え、左右に首を振った。