「なに? 彰はなにか知ってるの?」


あたしがそう聞くと、彰は言いにくそうに口元をモゴモゴと動かした。


さっき『墓地だった』ということは言っているから、きっとそれ以外になにかあるのだ。


「あそこは自殺にも良く使われているらしい」


しばらく悩んだ末、彰はそう言ったのだ。


「自殺……?」


あたしは顔をしかめてそう聞いた。


「あぁ。あまり知られてないけれど、俺の聞いた限りじゃもう10人前後の人間があの丘の上で死んでる」


「冗談でしょ!?」


愛子が叫ぶようにそう言った。


「こんな時に冗談なんて言うワケないだろ」


彰はすぐにそう言い返した。


「でも、自殺者の話なんて聞いたことがないぞ」


そう言ったのは渉だった。


確かに、あの丘で自殺した人の話なんて聞いたことがなかった。