謝る彼女に、何も言えない俺は壁に背中を着けた。


少しでも落ち着くようにと。




「なんで……俺に言わなかった?」



『……ごめん』



「俺は今日になって知った。しかも澄香からじゃなく、克喜の口から」



『……うん』



「なんでだよ。なんで電話にも出なかったんだよ」


『ごめん、爽夜……』



澄香の表情が見れない分、彼女が何を思っているのかわからない。