そっか。寛太、諦めてたんだね。



私、確かに先輩のこと好きじゃなかった。


強引に彼女なんかにされて。しかも先輩は遊びで。



それだけど、そんなんだけど。




今ではもう、先輩が、爽夜先輩が好きなのかもしれない。


そう思って寛太と距離をとる。





「ナツメ」



先輩が、俯く私の名前を呼んだ。



ああ、なんて心地よく響く声なんだろう。


今から何を言われるのかもわかっているのに、安心する。