「そろそろ戻る?」 「……うん」 結局、寛太の好きな人の話はこれっきり。 私のせいだけど。 だから寛太の気持ちは、まだ寛太の心に閉じこもったままなんだ。 教室に戻ると、まだHRは始まっておらず、がやがやしていた。 時々、「大丈夫?」と声を掛けてくれる友達がいて。 私の少し前を歩く寛太には「どこ行ってたんだよーサボりマン。廣瀬と添い寝かー?」とか野次を飛ばす。 え、添い寝とか言うなよ。