「俺とやり直そうよ」




そう言って、男は私に近寄ってくる。





「来ないで」




後退りして圭志から離れようと試みるが。



目の前のこいつはどんどん距離を縮めてくる。




頭上でチャイムが鳴り響いたとき、私はとうとう壁に背中がついた。






逃げ場がない。




どうしよ。



マジでどうしよう。





逃げられない。




スマホなんて取り出せる余裕はないし。


大声で叫んでも、一般教室から離れたココからでは聞こえないだろう。