またあの空き教室に連れていかれ、ドアをしっかり閉められる。 埃っぽい教室は、机がいくつか積み上げられて薄暗い。 記憶が蘇ってきそうになるのを、必死で紛らわそうとする。 怖い。 今走りだせば逃げられるだろうか。 いや無理だ。圭志との距離が短い。 少しでも動けば、すぐに捕まってしまう。 「ねーナツメぇ、俺さ、今彼女いないんだ」 「…………」