「で、話って?」



屋上に出ると、彼は興味深そうに聞いてきた。



「あのさ、」


「うん」





「――聖太くんって、好きな人。いるの?」





「………いるよ」



即答だった。



「教えて?」



気になった私はさらに問い詰める。



すると彼は、泣きぼくろをポリポリと掻いて、困った顔をした。照れているようにも見える。



「え、えっと、その……」



私は、ゴクリと唾を呑み込む。





「好きな人は今、俺の目の前にいる」





『好きな人は今、俺の目の前にいる』


とくんっ。


心臓が、飛び跳ねる。