聖太くんと出会ったのは、高校に入学して数週間経ったある日のことだった。



休み時間、図書室の閲覧席で文庫本を読んでいると突然、声をかけられた。



「俺、山崎聖太っていうんだ。よろしく」



声に反応して顔を上げると、そこには一人の男子生徒。窓から差し込んだ太陽の光が逆光になっている。



そう、彼こそが聖太くんだった。



「伊藤茉奈さんだよね?」


「そうです、けど」


「何組?」


「1年B組です」


「やっぱり! 俺もB組なんだ。色々あると思うけど、一緒に頑張ろう!」




彼はそう言うと、私に右手を差し出した。



え、なにこれ。友情ドラマに出てきそうなシチュエーション。この人意外とロマンチスト?