スマホを手に家を出る。 季節は夏。コオロギの鳴き声がする。 聖太くんの家は、歩いて三分くらいの場所。すぐに着いた。 白くて大きなお城みたいな豪邸。 インターホンを押す。 ピーンポーン…。 夜の住宅街のインターホンの音が響く。 〈あ、茉奈ちゃん? 鍵開けといたから、遠慮なく入って〉 インターホンの向こう側から聖太くんの声が聞こえる。 「わ、わかった」 いつもは玄関まで迎え入れてくれるのにな…。