それを振り切るように廊下に出たら、「七彩さん!」と声を掛けられた。
振り向くといつか告白してきた人が近づいて来る。
『あの時』の恐怖が蘇って、あたしは身が固くなった。
すると、それを察したように、猫撫で声でその人は言葉を続けてきた。
 
 
「この前は、ごめんね?びっくりさせたよね?でも、俺本気だよ?分かってくれるよね?ね?」
 
一方的に詰め寄られて、後退るけど、そんなのお構いなしにその人はにたにたと笑い掛けてくる。
 
 
イヤ。
キモチワルイ。
 
 
そう思って、逃げ出そうとする前に。