坂本先生「今日は実は転校生が、この2年1組に来ています!」
教室がざわざわし始める。

坂本先生「しーずーかーに!」
この一言でしんと静まり返る。
坂本先生「よし。では、入ってきてもらいます。どうぞ」

みんなの視線が前の扉に集まる。
そして引き戸の扉が音を立て、開く。
入ってきたのは女の子だった。

彼女は先生の隣に立ち、少し緊張気味に自己紹介をした。

?「わ、私の名前は、如月香夜といいます。隣の市から来ました。よろしくおねがいま…おねがいします!」

坂本先生「という訳なのでみんな仲良くしてあげてね」

皆「はーい」

こうして朝の会が終わった。


美歌「きさらぎさんって珍しい苗字だねぇ」

香夜「み、みんなによくいわれるの…」

さっそく美歌は如月さんに興味津々だ。
女子の輪が如月さんを囲んでいる。

美歌「私、栗山美歌って言うの。みかって呼んでね!」

香夜「み、かちゃん」

美歌「きゃー!可愛い!かよちゃんって呼んでもいい?」

香夜「いいよ」

そしてこちらを指さして、

美歌「あの子は私の親友の波瀬幸。いっつもぼーっとしてるけど頭はいいんだよ」

なによ、ぼーっとしてるって。
私はムスッとしながらも、如月さんに微笑みかける。

香夜「よろしくね」

幸「…よろしく」


――――また夢を見た。

今日も同じように登校し、やっぱり夢と同じことが起きた。

それから私は香夜と仲良くなり、毎日を過ごすのはいつも私、美歌、香夜の3人だった。

その夢を見たあとはしばらく何も見ていなくて、2ヶ月が経った。

季節は春を迎えた。
桜はまだ開花前だが気温はすっかり暖かい。

幸「もうちょっとしたら入学式だね」

美歌「はやいねー。かよが転校してきてから2ヶ月もたつんだよー?」

香夜「もうそんな経つんだ」

幸「もう、教室の場所とか覚えた?」

香夜「うーん、大体ね」

幸「そっか、色々聞いてね」

香夜「うん」

夢のことはまだ誰にも話していない。
言っても信じてもらえないだろう。
だけど、あれから見ていないから多分もう見ない。



と思っていたらその夜夢を見た。


―――――香夜「あ!筆箱忘れた。最悪」

美歌「えー、今日筆箱忘れた人多くない?」

幸「確かに。このクラスは、かよ入れてもう5人も忘れてるよ」

多すぎでしょと笑った。


―――今日の夢はすごく短かったがもう朝だった。

幸「一応多めに持っていくか…」

案の定、香夜は筆箱を忘れていたので私のを貸した。

なんでこんな夢を見るようになった?
いつから?

美歌「なんでそんなに持ってるの?いつもより多いね」

幸「ま、まぁね。気分で」

そして、美歌や香夜にこのことを話した方がいいのだろうか。

お母さん『悩み事なら一人で悩んでないで相談しなさいよ?』

お母さんの言葉を思い出して2人に言ってみることにした。

幸「あの、さ」

美歌「ん?」

香夜「なぁに?」