幸の母「そうですか…」
先生「しばらく様子を見ましょう。お母様はお帰りになさって構いませんよ」
幸の母「はい…」
お母さんは目の下にくまができていて、それがどれだけ私を心配してくれていたかを語っていた。
外を見ると大きな夕日が水平線に消えて行くところだった。
幸の母「じゃあ、お母さん帰るからね。いい子にしてるのよ」
幸「うん、ごめんね」
幸の母「謝ることないわ…生きていてくれてほんとに良かった…」
鼻をすする音が聞こえる。
昔からお母さんは心配性で、私が熱を出したり、病気をするとすごく気を使ってくれた。
感謝しかない。
お母さんが帰ってから私はすぐに眠りに落ちた。
―――――?「さちちゃん!起きて。いつまで寝てるの」
幸「この声は、、かいと君?」
海翔「おはよ。って言うかもう学校終わったぞ?」
幸「えっ、うそ!寝すぎた」
海翔「もう帰ろーぜー、ほら鞄持ってやるよ」
かいと君は私のクラスメイト。
であり、私の気になる人…でも、ある。
去年の中学1年生の時からクラスが同じで最初は怖い印象だったけどいざ話してみるとすごく心の優しい人で、共通の趣味で意気投合。
今では、仲のいい友達になっている。
海翔「寒くないか?」
幸「ぜーんぜん!かいと君こそ、年中薄着じゃん。寒くないの?」
海翔「俺は別に代謝がいいからな。あちーんだよ」
幸「ふーぅん」
たわいもない会話をしながら今日も家路につく。
幸「じゃーね、おやすみ」
海翔「おう。暖かくして寝ろよ」
幸「わかってるー」
こんな日が永遠に続いてほしい…なんて思いながら玄関のドアを開ける。
お母さんに「ただいま」とだけ言って二階にある自分の部屋へ向かう。
鞄を下ろしてベッドに横になる。
疲れた。
卒業式までには告白したいな。
寝返りを打ち目を閉じる。そのまま私は深い眠りについた。
――――――チュンチュン…
子鳥のさえずりが聞こえる。
どうやら夢を見ていたようだ。かいと君と帰る夢。
ほっぺたが熱い。やだな、もどかしい。
早く退院して、かいと君と帰りたい…
3回のノックでドアが開く。
幸の母「入るわね。どう?よく寝れた?」
幸「まあまあかな。でも、いい夢見れた」
幸の母「そう。それなら良かったわ」
幸「ねえ」
幸の母「なに?」
幸「いつ退院できる?」
幸の母「あともう少しよ」
幸「そっか…」
あともう少しがどれくらい先なのか、
長いのか、短いのか。
それは分からないけど早く退院したい。
2週間後、私は、先生の許可が降りてようやく退院出来ることになった。