「ぎゃぁあああっっっ!!ゆ、柚姫!!遅刻!!」
「んん〜…。なに、朝からうるさいなぁ……。」
「起きて!!遅刻だよ!!遊園地行くんでしょ!?」
「………。(チラッ)」
時計に目をやる。時刻は11時をさしている。
(…ん?11時…?)
「え、やばいじゃん!?!?!?」
「そーだよ!!柚姫ほら早く着替えて!!」
勢いよくベットから起き上がり着慣れないふわふわした女の子らしい服に着替えて髪をセットする。
遊園地に行く前日、優ちゃんの提案で優ちゃん家に泊まることになった。2人でいろいろ計画をしていたら、いつの間にか寝ていて…。
「柚姫、準備できた?」
「う、うん、とりあえずいける。」
「よし、行こっか!」
「ちょっと待って優ちゃん。下、パジャマですけど?」
「………あ。」
家から飛びだし、電車に乗り、駅のホームから遊園地まで走って行った。
文化部にはきつい。遊園地前には見たことのある人がスマホをいじりながら椅子に座っていた。
「ご…ごめ…んなさ……い。」
「遅れてごめんねっっ!!」
「ううん、別に大丈夫っすよ!優先輩!」
「…………(オロオロ)」
「だ…いじょうっ………ぶ………。」
彼はやっぱり優しい。だがしかし、1つ気に入らないことが。
(優ちゃんはなんで息が上がってないの。これが運動部と文化部の違いか……。)
「って、君誰?」
「え、俺っすか?俺は南 梓馬(みなみ あずま)っす!1つしたの学年っす。」
「え、1つ下?え、じゃあなんでここに……。」
「あ、言ってなかったねこの子、私の彼氏。」
「えっ。」
「よろしくっす。」
「ということで、早速行こーっ!!」
「おーっ!!」
「わ、私、優ちゃんに彼氏いるなんて知らなかった……。」
「…………(フルフル)」
「え、頼くんも知らなかったの。そーなんだ。」
「…………(ヨシヨシ)」
「えへへ、ありがと。もう行こっか、2人に置いて行かれちゃうしね。」
「…………(コクコク)」
「じゃあ、いこっか……ってなんですかその手……。」
「…………(コテッ)」
(そんな目で見られると……。もう、可愛いなぁ。)
「わかったよ……手繋ご。」
「…………(コクコク)」
何回も手は繋いだことがあるのに、それでも恥ずかしくて顔が紅くなってしまう。私がぎゅっと手を握ると彼は、優しくぎゅっと握り返してくれる。
そんな恥ずかしささえ愛しくて、幸せで。
(ずっと、こんな時間が続けばいいのにな。)
「柚姫、結局声聞けなかったね…。」
「そうだね、ダメだったねぇ…。」
昨日の夜いろいろと考えた計画はどれも失敗に終わった。
お化け屋敷に入ったり、ジェットコースターに乗ったり、ドリンクの中にタバスコを入れてみたり……。
「あ、優先輩!観覧車乗りませんか??」
「あ、いいねっ!!乗ろうっ!!柚姫たちも乗るよね?」
「う、うん。」
「………(コクコク)」
「先輩ー?何言ってるんっすか?2人で乗るんっすよ。(ボソッ)」
「ふぇあ!?!?あ、わっわかった…。」
「優ちゃん…。」
「ごめーん。先乗ってるね♪」
2人で赤い観覧車に乗り込む。
「優ちゃん、優ちゃんちょろすぎるよ…。」
「…………(コクコク)」
「やっぱそう思うよね。あ、次私たちだよ。行こ。」
「扉は絶対に触らないで下さいね。ではいってらっしゃーい!」
「うわーっ、結構高さあるねー…。ちょっと怖いかも。」
「…………(ヨシヨシ)」
「ん、別に大丈夫。ありがと。」
「……………(ニコ)」
(やっぱり声、聞けなかったな。なんで聞かせてくれないのかな。病気とかじゃないし、自分が単に声を出さないだけらしいし。なんでなのかな。)
「………。」
窓の外を見ている大好きな人の横顔を見るとなんだか切なく、胸がチクリと痛む。
(もしかして、私のことが………。)
まさかと思うが、自分の考えたくないことが浮かび上がってしまう。
(嫌だ。嫌だよ。頼くん……。)
「………頼くんは、」
「……………?……!?」
ぽろぽろ、目からたくさんの涙が溢れてくる。
「もしかして、私のことが嫌いなの?だから、こんなに頑張っても声を聞かせてくれないの?」
「……………!!」
思っていたことを言ったら、涙が止まらなくなってしまった。毎日思っていた。いつか頼くんが私から離れていくんじゃないかと。
「……ら、頼くんが、声を聞かせてくれないのは、わ、私が嫌いだか、らなのかなって………。」
「……………(フルフル)」
「じゃあ、なんで!?なんで、聞かせてくれないの。私、頼くんの事がこんなに好きなのに。大好きなのに……。」
「……………。」
ふんわりと抱きしめてくれる。けど。
「ごめん…………。今は。」
大好きな人の手を払った。今は、何も考えたくない。
ガタッ
扉が開く。いつの間にか1周し終わっていたようだ。前に先に行った2人の姿が見える。
「ごめん、優ちゃん。私帰る。」
「え、柚姫??」
「ほんと、ごめん。」
早歩きで遊園地から離れる。
初めて、頼くんと喧嘩をしてしまった。
(どうしよう………。)
家に帰ってからも、着替えずそのまま自室のベットに倒れ込む。
「………もう、嫌だよ…。」
ゆっくり、ゆっくりと瞼を閉じていく。
「んん〜…。なに、朝からうるさいなぁ……。」
「起きて!!遅刻だよ!!遊園地行くんでしょ!?」
「………。(チラッ)」
時計に目をやる。時刻は11時をさしている。
(…ん?11時…?)
「え、やばいじゃん!?!?!?」
「そーだよ!!柚姫ほら早く着替えて!!」
勢いよくベットから起き上がり着慣れないふわふわした女の子らしい服に着替えて髪をセットする。
遊園地に行く前日、優ちゃんの提案で優ちゃん家に泊まることになった。2人でいろいろ計画をしていたら、いつの間にか寝ていて…。
「柚姫、準備できた?」
「う、うん、とりあえずいける。」
「よし、行こっか!」
「ちょっと待って優ちゃん。下、パジャマですけど?」
「………あ。」
家から飛びだし、電車に乗り、駅のホームから遊園地まで走って行った。
文化部にはきつい。遊園地前には見たことのある人がスマホをいじりながら椅子に座っていた。
「ご…ごめ…んなさ……い。」
「遅れてごめんねっっ!!」
「ううん、別に大丈夫っすよ!優先輩!」
「…………(オロオロ)」
「だ…いじょうっ………ぶ………。」
彼はやっぱり優しい。だがしかし、1つ気に入らないことが。
(優ちゃんはなんで息が上がってないの。これが運動部と文化部の違いか……。)
「って、君誰?」
「え、俺っすか?俺は南 梓馬(みなみ あずま)っす!1つしたの学年っす。」
「え、1つ下?え、じゃあなんでここに……。」
「あ、言ってなかったねこの子、私の彼氏。」
「えっ。」
「よろしくっす。」
「ということで、早速行こーっ!!」
「おーっ!!」
「わ、私、優ちゃんに彼氏いるなんて知らなかった……。」
「…………(フルフル)」
「え、頼くんも知らなかったの。そーなんだ。」
「…………(ヨシヨシ)」
「えへへ、ありがと。もう行こっか、2人に置いて行かれちゃうしね。」
「…………(コクコク)」
「じゃあ、いこっか……ってなんですかその手……。」
「…………(コテッ)」
(そんな目で見られると……。もう、可愛いなぁ。)
「わかったよ……手繋ご。」
「…………(コクコク)」
何回も手は繋いだことがあるのに、それでも恥ずかしくて顔が紅くなってしまう。私がぎゅっと手を握ると彼は、優しくぎゅっと握り返してくれる。
そんな恥ずかしささえ愛しくて、幸せで。
(ずっと、こんな時間が続けばいいのにな。)
「柚姫、結局声聞けなかったね…。」
「そうだね、ダメだったねぇ…。」
昨日の夜いろいろと考えた計画はどれも失敗に終わった。
お化け屋敷に入ったり、ジェットコースターに乗ったり、ドリンクの中にタバスコを入れてみたり……。
「あ、優先輩!観覧車乗りませんか??」
「あ、いいねっ!!乗ろうっ!!柚姫たちも乗るよね?」
「う、うん。」
「………(コクコク)」
「先輩ー?何言ってるんっすか?2人で乗るんっすよ。(ボソッ)」
「ふぇあ!?!?あ、わっわかった…。」
「優ちゃん…。」
「ごめーん。先乗ってるね♪」
2人で赤い観覧車に乗り込む。
「優ちゃん、優ちゃんちょろすぎるよ…。」
「…………(コクコク)」
「やっぱそう思うよね。あ、次私たちだよ。行こ。」
「扉は絶対に触らないで下さいね。ではいってらっしゃーい!」
「うわーっ、結構高さあるねー…。ちょっと怖いかも。」
「…………(ヨシヨシ)」
「ん、別に大丈夫。ありがと。」
「……………(ニコ)」
(やっぱり声、聞けなかったな。なんで聞かせてくれないのかな。病気とかじゃないし、自分が単に声を出さないだけらしいし。なんでなのかな。)
「………。」
窓の外を見ている大好きな人の横顔を見るとなんだか切なく、胸がチクリと痛む。
(もしかして、私のことが………。)
まさかと思うが、自分の考えたくないことが浮かび上がってしまう。
(嫌だ。嫌だよ。頼くん……。)
「………頼くんは、」
「……………?……!?」
ぽろぽろ、目からたくさんの涙が溢れてくる。
「もしかして、私のことが嫌いなの?だから、こんなに頑張っても声を聞かせてくれないの?」
「……………!!」
思っていたことを言ったら、涙が止まらなくなってしまった。毎日思っていた。いつか頼くんが私から離れていくんじゃないかと。
「……ら、頼くんが、声を聞かせてくれないのは、わ、私が嫌いだか、らなのかなって………。」
「……………(フルフル)」
「じゃあ、なんで!?なんで、聞かせてくれないの。私、頼くんの事がこんなに好きなのに。大好きなのに……。」
「……………。」
ふんわりと抱きしめてくれる。けど。
「ごめん…………。今は。」
大好きな人の手を払った。今は、何も考えたくない。
ガタッ
扉が開く。いつの間にか1周し終わっていたようだ。前に先に行った2人の姿が見える。
「ごめん、優ちゃん。私帰る。」
「え、柚姫??」
「ほんと、ごめん。」
早歩きで遊園地から離れる。
初めて、頼くんと喧嘩をしてしまった。
(どうしよう………。)
家に帰ってからも、着替えずそのまま自室のベットに倒れ込む。
「………もう、嫌だよ…。」
ゆっくり、ゆっくりと瞼を閉じていく。