「……………」
「頼くん?待って!どこに行くの!?行かないでよ!!」
「…………」
「頼くんっ!!」
「………き…い。」
ーきらいー
「嫌だっっっ!!」
いつもの天井。見慣れた部屋の景色。いつもと違うのは息が上がって汗が出ている自分。
「…ゆ、夢?」
汗で肌がとてもベタベタする。
(うわ………何これ…。気持ち悪いなぁ…。それにすっごく嫌な夢見た気がするな。頼くんが私から離れてく………いやいや考えないでおこ。)
頼くんが離れていくなんて。そんなの、1ミリも考えたくない。
「柚姫〜起きてる〜?なら、ご飯ちゃっちゃと食べなさ〜い。」
「…はーい。」
母に呼ばれたのを合図にベットから起き上がる。重たい瞼(まぶた)を開きながら風呂場に向かう。
(……あ、あれ?頼くんからLINEきてる。朝から来るとか珍しいなぁ…。)
「え!?風邪ひいたの!?そっか、今日は学校つまんなくなるなぁ。」
(寂しいって言ってもしかたないよね。まぁ、ゆっくり休んでねって…。よし。これで大丈夫。お風呂入ってこよーっと。)
「あっ!柚姫、おはよー。」
「おはよー。優ちゃん。」
友達の五月菜 優(さきな ゆう)ちゃん。初めて高校生でできた友達。見た目はチャラそうだけど、しっかり者のお姉ちゃんって感じの子。
「ねぇねぇー柚姫さんよーっ。彼とはどんな感じ何ですかなぁ。」
そして、恋話にめちゃくちゃ食いつく。
「んー別にー。変わらないかなー。」
「えー。つまんなーい。てか、声は聞けた?」
「つまんないって…。それが、全然聞けないの。どうやったら聞けるかな…。」
「うーん。分かんないねー。あ、けどいろいろ試す価値ありそうだね。」
「うーん、例えば?」
「びっくりさせてみるとか?」
「簡単すぎじゃない?wwそれで声でたら苦労しないよっっwww」
「そーだね。wwwあ、それかジェットコースターに乗らせるとか!!」
「ジェットコースターか……。遊園地、久しぶりに行きたいなぁー。」
「遊園地、行こう、柚姫。朝比奈も誘って。」
「へ?」
バンッと勢いよく机を叩く。周りの人もビックリしてこちらを見ているがそんなの全然、優ちゃんは気にしない。
(朝から元気な優ちゃん。嫌いじゃないよ。)
「だーかーらー!遊園地、今度の日曜行こうよ!その時に声を聞き出そうよ!!名付けて、『声を聞くぞ☆大作戦』だぁーっ!!」
「え、まぢですか。」
「はい、まぢです。」
「………。」
「………。」
キーンコーンカーンコーン
チャイムが良いタイミングで入ってくる。それと同時に教師がガラガラガラと教室の扉を開けて入ってくる。立ち上がっていた生徒は自分の席へと向かう。
「ということで、よろしくね♪柚姫。」
「え、ちょ……。」
そう言い残して、優ちゃんも自分の席へと行ってしまった。
(次の日曜日は大変なことになるだろーな…。はぁ。)