「あの…… この間のお返事なんですけど……」
 私は覚悟を決めて口を開いた。


「はい」
 彼は真っ直ぐ私を見た。


「実は私…… オーストラリアへ留学しようと思っているんです。その為に英会話も教えて頂いていたんです。」


「えっ。知らなかった……」
 彼は怒ってはいないが、かなり驚いた表情をした。


「黙っていてごめんなさい。私…… 海原さんと居ると凄く安心出来て、一緒にいれば幸せになれるかもって思います。でも今、私にとって今は結婚のタイミングでは無いと思うんです。やりたかった留学しないと、いつか後悔する気がするし、自分の納得できる生き方じゃないと思うんです」

 私は小さく息をつき、話を続けた。


「私なんかを、海原さんにこんなに思ってもらえて、凄く嬉しかったです。でも、オーストラリアに行きたいんです。ごめんなさい……」

 私は頭を下げた。



 彼はしばらく何かを考えているようだったが、ゆっくり、穏やかに話し始めた。


「……雨宮さん。僕とあなたには大きな違いがあるみたいですね……」


「違いですか?」
 私は聞き返した。