私はオフィスのデスクの上に、美也さん、神谷さん、彼へのグアム土産を並べた。

 さて、どやって渡そう? 
 このまま窓口へ持って行くのはどんなもんなんなのか? 

 美也さんに迷惑掛けたくはない。

 私は机の引出から、沖田建築と書いてある封筒を出し、それぞれに名前を書きお土産を入れた。

 彼の分には付箋を中に入れた。
『先日はありがとうございました。 雨宮』


 私は白いマフラーを巻き、銀行の入口を過ぎるると、「いらっしゃいませ」の声に彼を見た。


 彼と目が合い、この間のお礼を込めて、笑顔で頭を下げた。





「雨宮さん、どうしたんですか? 心配したんですよ」
 
 美也さんが、未だ窓口までたどり着かない私に声を掛けてきた。
 

 えっ? ただの窓口へ通うだけの私を心配してくれる事が不思議だった。


「ごめんなさい…… ちょっと旅行に行ってたの…」


 私は鞄から通帳や振込用紙の間に入れた、沖田建築の封筒を出した。封筒に書いた名前が分かるように、美也さんに渡した。
 美也は少し驚いたようだが、すぐに笑顔が戻った。


「ありがとう」

 美也さんは解ってくれたようだ。