着いて行くと見えたのは裏庭だった。





裏庭って初めて来たー!…と感心して辺りをキョロキョロ見渡し楽しそうなれいなとは対照的に私はアイツがこれから何を言うのかという不安な感情を抱いていた。




「川瀬さん、落ち着いて?本題入らなきゃじゃん。」




…口を出したのは意外にも真面目と私がイメージを植え付けていた及川君だった。



そして及川君の声が聞こえたれいなはごめん、つい興奮しちゃって…と苦笑いして収まった。




「あれ、お前らそんな仲良かったけか…?」




廣川君が不思議そうに2人を交互に見つめながらそう言った。





けど、れいなは真っ先に「いや、こないだ偶然会って流れで話しただけの仲だよ。」と否定した。





「そっか。なら良かった。」




えっ?なんでよかった…なの?





私がそう思った瞬間「あ、本題そろそろ入るか。」




と紛らわすように廣川君が再び口を開いた。

「えっとな…本題というのは俺と間宮、涼とリバーのこの組み合わせでゲームをするんだ。」


え…廣川君てれいなのことあだ名で言ってるの?!


またまた謎が発覚した。でもそれはれいなも同じだったようで…





「え…リバーて誰…?ここの学校ハーフはいたとしても外国人はいないよ?」




「あーリバーはな〜川瀬に愛称として付けてやろうて思って俺が命名しましたっ。」




ニカッと笑ってピースしているチャラ男。



「ねぇ、それならもっといいあだ名ないの?!廣川君のネーミングセンス疑うんだけどっ」



…とれいなは腑に落ちない様子。
…ってかれいなの腑に落ちない根端はそこかよ…!?





と私は心の中でれいなをツッコンだ。




「しかもリバーなら廣川君もあだ名リバーになるよ?」





確かに廣川君らしいやと思った。





「じゃあ…れいちゃんとかは?」




彼はまだ満足しないからかまたあだ名を提案し始めた。





「え…廣川君超キモイ…れいちゃんとか相手が男の子だったら絶対言えないんだけど。しかも廣川君なら尚更呼ばれたくない。」




出た〜れいなの毒舌。





れいなは天然だけどたまに毒舌なんだ。
一応愛情表現なんだろうけど。それが彼女の人気のひとつでもあるんだ。

「うわぁ…いくらなんでもキモイは酷くね?」





彼は見てわかるくらい落ち込んでる。
れいなの毒舌に怯んでるようだ。



確かにれいなは見た目がフワフワしてるイメージがあるから毒舌なのは想像出来ないだろうな。




「私にあだ名なんて1億年早いんだからね。」




とドヤり顔を廣川君に投げつけた。




2人の漫才?ぽいのが終わって私が口を開きようやく本題に入った。




『それで、ゲームて何やるの?』





「んーそうだな〜ラブゲームとか?」




『は…?内容が理解出来ないんだけど。』




「だからー、お試しで俺と間宮が付き合うんだよ。」





『はぁぁぁあ!?!?』




確かに私は彼と向き合うとは言ったけど、れいなからも彼と話せとまでしか言われてないのに…なんで私がアイツと付き合わなきゃなの…!?




『そしたられいなとか及川君はどうなるの?!』





「涼とれいなは2人で別のゲームやるんだよ。」





『えっ聞いてないっ。そうなの!?れいな』





「…」




れいなは苦笑いしてはぐらかす。





「俺はいいよ。正直川瀬さん結構気に入ってるし。」





及川君…いつの間にそんなsっ気が…積極的…





「わ…私は…やらなくていいんだけどな?」




でもれいなは何でか分かんないけど必死に拒否。






そうれいなが言った瞬間及川君は笑いながら



「川瀬さん、やるよね?^^」




と言ってきた。




その状況を理解したのかれいなは怯えながら怖がって何度もコクコク頷いた。




及川君…目が笑ってないよ。




「コホンッまぁそーゆー訳だ。俺らは俺らでやろうぜ。間宮。でも付き合うって言ったって先生や周りの人にバレたら終わりの関係だから。もちろんそれはあの2人もな。」




と仕切り直して廣川君がそう言ってくる。




…確かに先生や周りの人達にバレないようになら被害が凄いわけではないはず…。




なんか拒めなさそうだし…『いいよ。』と渋々了承した。





「んじゃあ今日からやろうか。」





『え!?もうやるの?!』




突然の廣川君の一言でこれから私の青春は波乱な予感。

…………はぁ。



昼休みが終わり只今授業中。しかも私の1番嫌いな数学。


数学の先生は鬼山貴志(きやまたかし)というイケメンなのに性格が名字の通り鬼という何とも残念な人。←失礼。



まぁ女子はそういうドSなとこも好きみたいで、人気も生徒に負けないくらい高いと思う。





私はよくその先生にパシリにされることが多々あり、女子の痛くて鋭い視線は避けられない始末。




てかそれよりも……





ラブゲーム?の件……





アイツ呼び出しといていきなり付き合えはないでしょ。





しかも私アイツを嫌いな人なんだけど。




確かにさ、アイツに向き合うとは言ったよ。
けどさ、アイツは人気者で騒がれてる奴の1人だからバレちゃったらますます女子に批判を食らうのはもう分かること。





内緒の関係てちょっとワクワクするけど、不安が強すぎんだよ。特にアイツは。なんで付き合いたいんだよ。




『バカ。』





その声は先生にも聞こえてたみたいで………
私が声をそう発した瞬間皆がこちらを向いた。

「あぁ?間宮、今授業中だろ?先生に向かってバカとはいい度胸じゃねぇか。」





あ…これは鬼山に殺されるわ……





『………すみません。』






「じゃあお前この問題を解いてみろ。この問題結構重要だからな。皆もよく見ておくように。」





『は、はい。』




えっどうしよう…マジで分かんないよ。



私は必死に正確な解答を頭の中で模索した。




ブーッブーッ。。




何故かこんなピンチだという時間に私のスマホが鳴った。



「……どうした?間宮。もしかして分かんないのか?」




私は先生にバレないようそっとスマホを開けチェックすると……


X=±√2…




…と書いてあった




私は一か八かその答えで通してみることにした。





『プッ…±√2です!』





「おぉ、解けたじゃねぇか。じゃあ次の問題行くぞ。次は………ー」





あ……合ってた!!この人…すごい





私はその人の宛先を調べるも知らないアドレスで…
正直ゾッとした。多分誰かが見ていて教えてくれたのだろう。




キーンコーンカーン……ーー
私はチャイムが鳴った瞬間そのことをれいなに報告した。




「え!そうだったんだ〜それは凄いね!」




れいなも一緒になって驚いていた。





「それで…その人は誰か分かったの?」





『いや…それが…分かんなくて…』





そう、それが問題なんだ。きっとさっきの授業をどこかで見てた人なんだ。間違いない。





……ピロリン。




またメールの着信音だ。(※授業外だから変えました)





……あ、さっきの数学の人からじゃん!!
私はすぐそのメールを開いた。


Re:

さっきの問題合ってた?




…という短い1文。





『れいな!メールまた来たよ!』




「えっアドレスとか見せれる?何か分かるかも!」





れいなにそのアドレスを見せると始めは目がキラキラして興味津々な表情だったが、次第にその曇っていった。






「んー…これ…は…誰だろうね?ごめんね、私…分かんないかも…」





『それは残念だなぁ。』




れいなでもダメか……。




こうなったら……





『れいな、私この人を探ってみるよ!その人に直接会ってお礼したいし』





「うん分かった!見つかるといいね。宛先主。」





私は秘密の恋愛と同時に知らないアドレスの正体を探すことにした。


………ーーあれから放課後。





私は帰ろうと思い教室を出ると、壁にもたれ掛かっている廣川君がいた。






そーいえば、今日から偽カノなんだっけ。メールの件で頭がいっぱいで忘れてた……。





「すずはバイバーイまた明日ね!宛先主頑張って見つけなね〜」




『うん!バイバイ!』




……ん?あれ、れいなと一緒にいる長身で黒髪の人……もしや……及川君!?





一緒に帰るのかな?凄いな〜何気にあの2人は仲良いよね。明日思いきり聞いてやろっ。




企みを密かに抱えて表情がニヤついている私は廣川君を無視して背を向けて歩きだした。





「おい、間宮どこ行くんだよ。」





鬼のような形相をしながらこちら側へだんだん近づいてくる。





ですよね。ダメ元で実行したけどやっぱ見抜かれてたか……





私に近付いた廣川君は仁王立ちしてじっと見つめてくる。




身長が20cm以上離れてるせいか威圧感が凄い。





てか………近いんですけど!!





「ここイチャイチャ出来ねぇから裏庭行くぞ。」




は……イチャイチャて言った?





『え、やです。私は帰りたい。』




そう言うと廣川君は何かを思いついたような顔をした。
凄い嫌な予感がするのは私だけ?





「ほぉー間宮は俺の家に行きたいんだな?今日は凄い積極的じゃねぇか。いいぞ別に家でも。」





『はぁあ!?なんで家になるの?あんたの発想が変態過ぎるの!』





「ワガママだなぁ……じゃあ家か裏庭で選べ。二択だからな。」





『どっちもいやぁああ!!』




「……っおまっ声でけぇよ猿かよ。」





『誰が猿じゃ犬め!!』





「はぁあ!?んだとー?!」






「………ふっ」






『は?!な、なによっ………っ……//』





私が、見たのは、純粋に笑っている彼の笑顔だった。





悔しいけど不覚にもかっこいいて思ってしまった自分がどこかにいた。





顔がなんか………熱い……。





「お前………顔赤くね?大丈夫かよ熱あるの?」





ピトッ。




アイツの手が私と額に被せられもっと近くなる2人の距離。





そんな近づいたらもっと赤くなるじゃんバカ。天然タラシ。

「んでどーすんだよ?」




流石に16歳で家は………ヤバイ気がするからな……




『………裏庭。』





「ちぇっ家でも良かったのに。」




と言いほっぺを膨らますアイツ。





「……ん。」




廣川君は突然私に手を差し出した。





『え?なに…?手相見てほしいの?』





なんで手を出すの…?





「ちげーよ。お前ほんとに少女漫画見てる奴か?分かるだろ、手を繋ぐんだよこうやって。」





廣川君は無理やり私の指を絡めて繋いできた。






はっ………これって恋人繋ぎ!?←今更





まぁそりゃそーか。一応彼女だし。偽だけど。





『あ、そーゆーこと。』





「はぁ、お前マジ疎すぎて困る。まぁそこが可愛いんだけど。」





…え、今なんて。アイツが可愛いて言った?





『え、今私を可愛いって言った…!?』





て聞くと、アイツは照れくさそうに悪いかよ。て素直に返してくれた。意外……



「ほら、さっさと裏庭行くぞ。」




『えっ待って!』





こうして話してる間に私達は裏庭に着いた。