「あの……そういえば、先輩はいつ私が妹だって気づいたんですか?」
「は?
お前、わかっていなかったのかよ」
私がずっと気になっていたことを尋ねると、彼は怪訝そうに見つめてくる。
「え?
そうですよ……?」
私は、彼に言われるまでお姉ちゃんの彼氏が天音先輩だと気づかなかった。
音楽の授業をサボっていることや、ピアノを弾いていたこと。
それらを踏まえると結びつけることはできたかもしれないけれど。
あの時点ではそんなこと夢にも思っていなかった。
「それは、春に出かけたときだよ。
あのとき、陽葵が1回笑っただろ?」
笑った?
なんのことなのか思い返せなくて黙り込む。