けれど。



「素直だよな、陽葵は」



ふいにそんなことを言われて、固まってしまう。



すぐに気を取り直して、次の言葉を待つ。




「俺、そんな陽葵が羨ましかったんだ。
陽葵も、澄恋も……俺に大切なことを教えてくれる奴は、みんなまっすぐだから」



天音先輩に憧れていただけの私。



そんな私を、彼が『羨ましい』と言ってくれるなんて。



なんだか嬉しくて仕方がない。




「……お前のせいじゃないって、わかっていた。
あのときはひどいこと言って悪かったな」



あのとき、というのは、きっとお姉ちゃんのお葬式のときのことだろう。



私のせいだ、と言われて、あれから私は怯えながら毎日を過ごしていた。



でも、確かに私にも否はあるし、当時の彼の思いは痛いほどわかる。